ベクトル・行列がわかる学生生活は楽しいかも…
数学ナビゲータで著者のつくった公式集もあります(数学C)
ベクトル・行列がビジュアルにわかる
線形代数と幾何
〜多次元量の図形的解釈〜
著者
江見圭司(京都情報大学院大学 准教授 京都コンピュータ学院)
江見善一(京都産業大学,京都女子大学,京都コンピュータ学院 非常勤講師)
値段 2,500円+税
共立出版 http://www.kyoritsu-pub.co.jp/texthp/sugaku/01764-1.html
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★内容★
本書で扱う線形代数は本来の意味で、高校数学(数学IIB,代数・幾何,数学C)と大学数学(線形代数)の橋渡しの役割を果たす構成になっている。内容記述は懇切丁寧。読者がとくにつまづくであろうと考えられる箇所は、その理解を助けるために大部分を3Dで表現した図版を用いて解説したり,One
Point Adviceを用いたりしている。後半部分(空間図形と2次曲線)はいまどきの大学工学部の学生に人気のCGを意識した数学(情報数学)が扱われている。また、巻頭にはテキストとしての便も考慮し本書を利用した場合の見本の講義計画を付した。これは米国のテキストのスタイル(に多く見られる)を参考にした、「だまっていてもそのままテキストとして使用できる」という利点も兼ね備えている。
★目次
第1章 ベクトル
・多次元量とベクトル
・ベクトルの内積
・章末問題
第2章 行列
・行列の計算
・逆行列とべき乗行列
・3元連立方程式の解法
・章末問題
第3章 線型変換
・2次元線型変換
・線型性の利用
・固有値問題
・3次元幾何変換
・行列の演習と群
・章末問題
第4章 空間図形
・空間内の直線の方程式
・空間内の平面の方程式
・ベクトルの外積
・空間図形の総合問題
・章末問題
第5章 2次曲線
・円錐曲線
・2次曲線の応用
・章末問題
ここがみどころ
「ここがみどころ」を紹介します。私の学生は読んでいて面白いと言っています。紙が薄いですが,片手で持てます。電車の中でも寝床でも容易に読めます。以下の文は常体で書いております。
vii 「高校数学のカリキュラムの変遷」…大学の線形代数教育に関して若手教員と年配教員の意識の違いは何に由来するかを、学習指導要領の分析から説いている。線形代数の教育が花だったのは1973年カリキュラムと1982年カリキュラムである。生まれた年度から線形代数に関して学習した内容を一覧できる。わずか2ページの記述であるが、他の追随を許さない分析と言われている。
iv 「講義計画書」…いわゆるシラバスをつけている。シラバス3条件である予定表、参考文献、評価のうちの表海外を載せた。評価は数学であるので、練習問題・復習問題・章末問題を試験に出してその得点でつければよいので、載せていない。
xiv「本書を読む準備」
ここでは水道方式の提唱者である遠山啓氏の主張を筆者なりに解釈したものを載せている。特に読んでいただきたいのは、「5 正比例、線形代数、微分の関係」で述べている森ダイヤグラムである。森ダイヤグラムを見れば、73年や82年カリキュラムの高校数学が微分と多変数化(線形代数)の2本柱になっていたが、現在は1本になっていることがよくわかる。「6 代数と幾何の違いによる文字のノーテーションの違い」は、これまで取り上げられたことのない話題である。数学や物理学が嫌いに理由の一つに文字のノーテーションのわかりにくさにあると筆者は考えている。
p22 直交するベクトルの重要性を力学の分力の問題を用いて解説する。分力は直角に分けることに意味があるのである。
p24 数学の本に「軸性ベクトルと極性ベクトル」の議論を載せるのは珍しい。
p30 行列の計算 はっきり言って、行列にこんな導入をするのは見たことがないだろう。森毅はこういう導入をよくしていたようだ。そもそも行列はベクトルからベクトルへの変換の比例係数である。ベクトルは外延量(示量変数)であるのに対して、行列は比例係数で内包量(示強変数)なので、原則的には加減法の演算はないのである。
p43 One Point Advice
正方行列でない行列の積のことを述べている。これは森毅氏の本で知った便法である。
p47 いろいろな線形性
6種類も線形の例をあげた。数列の和、定積分、極限、微分、期待値、内積である。
p60-p61 はき出し法の説明はなかなかわかりやすいと思っている。p61のOne Point Adviceは特に読んでほしい。基本変形の記述に関して他書と比較している。
p62 はき出し法と消去法の対応表はなかなかお目にかかれないであろう。
p66 「電気回路と連立方程式」は電気系の方は喜んでいる。ただし、図2.3.2の回路図のI2, R2とI3,R3が逆になっているので訂正していただきたい。申し訳ない。
p73 2,3,4の問題は解くと面白い。
p79 「問4 せん断」はCGの本には載っているが、数学書としては珍しい。これはJordan標準形を考える上で重要である。
p93 「平行移動とアフィン変換」は他の数学書には載っていない。また、CGの本には載っているが、なぜ同次座標を使うのかはふれていない。そこを解説してる。
p99 逆行列をもたいない線形変換(退化型)の図は圧巻であろう。
p107 表のように固有値、固有ベクトルを整理するとよい。石村氏、馬場氏の書籍の真似をした。
p108 人口移動の問題は圧巻だと思う。
p112 入門書であるが、行列の線形微分方程式を載せた。最近の大学生は高校で微分方程式を全く学習しないので、感動することはないであろう。
p120-125 3次元幾何変換は数学書には載っていないであろう
p126 AB≠BAの図解がある。
p127 群の初歩的扱いを掲載した。線形代数の入門書には画期的であろう。数学者が思っている以上に、群論は応用範囲が広い。
p130 四元数(クォータニオン)を載せている。
p170 3元連立1次方程式の不定・不能の図解。本邦初公開。「ビジュアルにわかる」の真髄である。
コネタ集
以下のOne Point Adviceなどを読むとよい。
p7 コンピュータの話題
p13 正規化や規格化という用語について述べた。
p31 マトリックス
p50 行列式は行列の大きさを表すという解釈を載せた。
p54 不定・不能という用語、1元1次方程式の不定・不能について述べた。
p95 ARTSはしゃれである。
p103 固有値、固有ベクトルのeigenの語源を解説した。筆者(江見圭司)がドイツ語マニアであることがばれてしまう。
p130 「パウリのスピン行列」なんて、数学書やコンピュータ書には絶対載っていない。
p133 第4章扉の図は筆者(江見善一)が設計した自宅である。
p175 表紙の図が出てくる。
★金沢工大生向け情報★
本書出版時は私は金沢工大情報フロンティア学部メディア情報学科専任講師でした。
この本が役にたつ科目
数理工統合III (春学期に間に合わなくてすみません)
数値処理基礎(情報工学科 旧カリキュラム 1年冬)
グラフィックスと映像メディア処理(情報工学科 3年春)
そのほか,情報工学科の画像処理関係の各科目
コンピュータグラフィックス演習(メディア情報学科 2年春)
空間メディア数学(メディア情報学科 2年秋の教科書の予定)
建築系でCADやCGをやる方,電気系の方にももちろん役立ちます。