..4 掃き出し法と逆行列

●掃き出し法と逆行列●

 掃き出し法を利用して逆行列を求める方法について考えてみよう。

 たとえば 行列

A=( 1 2 2 5 )

の逆行列を

( p r q s )

とすると

( 1 2 2 5 )( p r q s )=( 1 0 0 1 )

すなわち

( p+2r 2p+5r q+2s 2q+5s )=( 1 0 0 1 )

である。したがって  Aの逆行列を求めるには 2組の連立方程式

( 1 2 2 5 )( p r )=( 1 0 ) , ( 1 2 2 5 )( q s )=( 0 1 )

の解

( p r ) , ( q s )

を求めればよい。 そして この解をまとめて求めるには 行列Aと単位行列Iを並ベてつくった2×4行列

( 1 2 2 5 1 0 0 1 )

を掃き出し法で

( 1 0 0 1 p r q s )

の形にすればよい。 すなわち 次のようにして 逆行列が求められる。

( 1 2 2 5 1 0 0 1 ) ( 1 0 2 1 1 2 0 1 ) ( 1 0 0 1 5 2 2 1 )  

したがって

              A 1 =( 5 2 2 1 )

 

 A3次の正方行列の場合も  2次の正方行列の場合と同様である。すなわち 行列Aと単位行列Iを並ベてつくった3×6行列について 基本変形を行って

              ( 1 0 0 a b c 0 1 0 d e f 0 0 1 g h i ) とすればよい。

 


==例題 掃き出し法を用いた逆行列の求め方===================

行列Aの逆行列を掃き出し法で求めよ。

  A=( 1 1 2 2 1 7 1 1 3 )

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【解】

( 1 2 1 1 1 1 2 7 3 1 0 0 0 1 0 0 0 1 ) (1) ( 1 0 0 1 1 0 2 3 1 1 2 1 0 1 0 0 0 1 ) (2) ( 1 0 0 0 1 0 5 3 1 1 2 1 1 1 0 0 0 1 ) (3) ( 1 0 0 0 1 0 0 0 1 4 1 1 1 1 0 5 3 1 ) A 1 =( 4 1 1 1 1 0 5 1 1 )

(説明)(1) 第2行に第1行の-2倍を加え,第3行に第1行の-1倍を加える。

(2) 第1行に第2行を加える。

(3) 第1行に第3行の一5倍を加え,第2行に第3行の-3倍を加える。

<注意> 途中で掃き出しができなくなるときは,逆行列はない。

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★★[コラム]電気回路と連立方程式★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

  図の回路において, E1, E2 R1, R2, R3 が与えられたとき, I1, I2, I3 を求めよ。ただし, 電圧・電流は次式の関係にあるとする。

 

                  { I 1 + I 2 = I 3 ( 1 ) E 1 +( R 1 I 1 )+( R 3 I 3 )=0( 2 ) E 2 +( R 2 I 2 )+( R 3 I 3 )=0 ( 3 )

                              

                               2.3.2 回路図

 図の回路はキルヒホッフの法則を適用して解く問題の典型的な例題で,電源の向きや抵抗の配置によってさまざまな変形が考えられる。 キルヒホッフの法則は電気回路における電圧と電流の関係を表す法則である。

電流則:1点に流入する電流は流出する電流に等しい。

電圧則:1周する回路において向きを考慮して加えた電圧は0となる。

2つがある。電流則は水の流れのようなものであり,((入った量))((出て行った量))ということができる。物理学者は電化保存則だという。電圧則は「電気にも高さに相当するものがあり,山登りで頂上へ行って登山口に戻れば結局上った高さは0となる」ということに対応している。物理学者はエネルギー保存だという。

 キルヒホッフの法則を適用して電流・電圧の関係式を求める方法は電気回路で学ぶ。ここでは,その得られた結果が連立1次方程式になることを認めて,流れる電流を求めてみよう。

 

【解】

 与えられた式を次のように整理する。

        I 1 + I 2 I 3 =0   ( 1 ) R 1 I 1 + R 3 I 3 = E 1   ( 2 ) R 2 I 2 + R 3 I 3 = E 2   ( 3 )

 これを行列で書くと,

( 1 1 1 R 1 0 R 3 0 R 2 R 3 )( I 1 I 2 I 3 )=( 0 E 1 E 2 )

 これから逆行列を求めて解くと以下のようになる。

        I 1 = ( R 2 + R 3 ) E 1 R 3 E 2 R 1 R 2 + R 2 R 3 + R 3 R 1 I 2 = ( R 1 + R 3 ) E 2 R 3 E 1 R 1 R 2 + R 2 R 3 + R 3 R 1 I 3 = R 2 E 1 + R 1 E 2 R 1 R 2 + R 2 R 3 + R 3 R 1

 回路が複雑になれば、n次の行列の逆行列を求める必要がある。それらについては本書の範囲を超えているので、各自参考文献で勉強してほしい。

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